外国人観光客がどんどんと増えている日本。2024年の訪日外国人(インバウンド)数とインバウンド消費額が過去最高を更新しました。インバウンド消費額は8.1兆円となっており、自動車に次ぐ「輸出産業」となっています。
観光客が増えたことで観光税の一種である「宿泊税」の導入や検討をする自治体も増えてきているようです。

この間ホテルに泊まったら現地で「宿泊税」を徴収されたな
手持ちがあって助かったけど……



「宿泊税」ってどんな自治体が導入しているのかな
徴収した「宿泊税」は何に使われるんだろう?
本記事では、「宿泊税」を導入している自治体数と徴収される金額一覧をまとめ、どうして現地で徴収されるのか、徴収された「宿泊税」は何に使われているのか、簡単にまとめました!



私自身も現地で「宿泊税」を徴収されて驚きました!
「宿泊税」がどんなものなのか調べてみました!!
宿泊税とは


宿泊税とは何か、何に使われているのかを簡単にまとめ、導入されている自治体と金額一覧を下記にまとめました!
宿泊税は地方自治体独自の課税制度
宿泊税は地方自治体独自の地方税で、徴収した金額はそのまま自治体の収入となります。観光地の保全や運営などに使用されるほか、自治体運営の財源として有効とされています。
基本的には、1人1泊あたりの宿泊料金を基準として課税対象の金額を判断しています。
消費税や食事などのサービスに関わる部分には宿泊税は課税されず、宿泊料金にのみ課税されるものとなっています。
人種や国籍、年齢に関係なく課税が行われるため、日本人であっても該当の宿泊料金を超えた場合は「宿泊税」が課税されることとなります。
宿泊税は観光施設の運営に使われることがほとんど
宿泊税は観光振興を目的としているため、観光施設の整備や改修、観光案内所の運営、交通インフラ整備、文化財の保護や修復などに使われることが多くなっています。
京都市では、無電柱化などの景観美化、観光地のごみの回収、混雑対策として始められた「観光特急バス」新設、京都駅整備などに使用されています。



観光地が素敵な観光地であり続けるために
「宿泊税」の財源が使われているようですね
導入している自治体と金額(税額)の一覧
2025年3月現在で「宿泊税」が導入されている自治体と金額(税額)を下記にまとめました。
自治体 | 宿泊料金(1人1泊) | 金額 |
---|---|---|
東京都 | 10,000円~15,000円未満 | 100円 |
15,000円以上 | 200円 | |
大阪府 | 7,000円~15,000円未満 | 100円 |
15,000円~20,000円未満 | 200円 | |
20,000円以上 | 300円 | |
京都府京都市 | 20,000円未満 | 200円 |
20,000円~50,000円未満 | 500円 | |
50,000円~100,000円未満 | 1,000円 | |
100,000円以上 | 10,000円 | |
福岡県 | 一律(福岡市・北九州市以外) | 200円 |
福岡市 | 50円 | |
北九州市 | 50円 | |
福岡県福岡市 | 20,000円未満 | 150円 |
20,000円以上 | 450円 | |
福岡県北九州市 | 一律 | 150円 |
石川県金沢市 | 20,000円未満 | 200円 |
20,000円以上 | 500円 | |
北海道虻田郡倶知安町 | 一律 | 2% |
長崎県長崎市 | 10,000円未満 | 100円 |
10,000円~20,000円未満 | 200円 | |
20,000円以上 | 500円 | |
北海道ニセコ町 | 20,000円未満 | 200円 |
20,000円~50,000円未満 | 500円 | |
50,000円~100,000円未満 | 1,000円 | |
100,000円以上 | 2,000円 | |
愛知県常滑市 | 一律 | 200円 |
静岡県熱海市 | 一律 | 200円 |
導入自治体は増加していく
「宿泊税」は、12自治体で導入されており、今後日本での導入が増加していく傾向にあるとされています。
「宿泊税」が導入される市町村の特徴をまとめてみました。
・外国人観光客が多く訪れる
・多くの観光客が集まる観光地に隣接している
・国際空港や主要な駅がある
導入されている自治体は、外国人観光客が多く訪れる都市や地方となっており、日本でも有数の観光名所がある場所となっていることが多くなっています。愛知県の常滑市は国際線が離発着する「中部国際空港(セントレア空港)」があるため、宿泊税が導入されている形となっています。また、観光地に隣接した自治体にも「宿泊税」が導入されるケースが多く、北海道虻田郡倶知安町はニセコ町の隣接になっていることから「宿泊税」が導入されました。
このほか北海道、宮城県、広島県、札幌市、仙台市なども議会で宿泊税条例を可決しており、北海道赤井川村と静岡県熱海市は導入間近となっています。また、沖縄県、千葉県、熊本市、栃木県那須町なども導入に向けて動いており、観光振興の財源として「宿泊税」を利用しようという動きが全国的に広がっているようです。



「宿泊税」の税率等は各地方自治体のHPで確認できるため、
旅行や出張の際にはチェックが重要ですね
宿泊税が現地で徴収されるのは、対象金額が変わる可能性があるから


宿泊税は、宿泊するホテルや旅館といった現地での支払いとなっています。
その理由は以下の通りです。
・宿泊人数によって1人当たりの税額が変わる可能性があるため
・宿泊プランによっては税額が変わる可能性があるため
・キャンセル時などの返金対応を簡略化するため
宿泊人数・宿泊プランによっては税額がかからないことも
「宿泊税」は「1人1泊」あたりの宿泊金額(サービス抜き)を参照して課税金額が算出されます。
そのため、宿泊人数や宿泊プランによって「宿泊税」が徴収されないことがあります。
<東京都>
・素泊まり
・「1泊:1万円以上~1.5万円未満」のホテルに宿泊
・消費税抜き
1人利用:1万円以上~1.5万円未満に該当するため、「宿泊税」100円が発生
2人利用:1人当たり5,000円になるため、「宿泊税」は発生しない
宿泊人数が増えることによって、「宿泊税」がかからないことが上記の例から分かります。
また、1人利用であっても「朝食込み」のプランであった場合は、朝食料金が差し引かれることになります。
そのため、最終的な実質の宿泊料金が1万円を下回った場合には、上記の例の1人利用であっても「宿泊税」は発生しないことになります。



似たような時期に同じようなホテルに泊まって「宿泊税」が徴収されたりされなかったりしたのは、プランの差だったんだね!!
キャンセル時などの返金対応の簡略化
現地で徴収する大きな理由としては「キャンセル時の返金」と「税金の徴収代行の問題」があります。
ホテルや旅館といった宿泊先を予約する際、予約サイトを通じて予約するのが昨今の主流となっています。楽天トラベルやじゃらん、アゴダ、ブッキングドットコムといった各種の宿泊予約サイトは便利ですができないことがあります。
それが「税金の徴収を代行すること」です。
簡単に解説します。
<税金の徴収代行がなぜできないのか>
・宿泊予約サイトで予約
↓ 「宿泊税」を徴収
・ユーザーが「キャンセル」した場合
↓ 「宿泊税」をユーザーに返金
・クレジットカード会社に税額分の返金を依頼
★クレジットカード会社に対して返金するのに手数料が発生
⇒手数料分の金額がユーザーに請求される
宿泊予約サイトで予約をして、キャンセルをした場合に一度おさめた「宿泊税」を返金しなければならなくなり、その返金の際にクレジットカード会社に対して手数料が発生します。発生した手数料は宿泊予約サイトが支払ってくれるわけではないため、負担はユーザーに掛ることとなります。
100円の「宿泊税」を返すのにそれ以上の手数料がかかってしまうため、宿泊予約サイトでは「税金の徴収代行」を行っていないとされています。実際に宿泊する際には、「宿泊税」が現地支払いになるため前もって「宿泊税」がかかるのか調べる必要性があると言えます。



返金じゃなくて、更に支払う可能性があるのは嫌ですよね
現地徴収の理由に納得がいきました
まとめ
・「宿泊税」は地方自治体の観光税の一種
・地方自治体によって課税金額に差異があり、地方自治体HPで確認する必要がある
・「1人1泊」あたりの宿泊金額(サービス抜き)を参照して課税金額が算出される
・現地支払いなのは「宿泊税」がかからないケースや返金に対応するため
本記事では「宿泊税」について簡単にまとめました。
今の日本の観光地には海外から来た観光客であふれています。観光地の生活を守ったり、快適に観光して過ごしたりするためにも「宿泊税」の導入は逃れられないのかもしれませんね。
まだ導入している地方自治体は多くはありませんが、今後増加する可能性は大いにあります。
旅行先や出張先の自治体HP(ホームページ)等を確認して、情報を逃さないようにすることが重要ですね!
現地で急に支払いとなっても慌てないようにしていきましょう。
宿泊予約サイトによっては、宿泊先のホテルのページに宿泊税のことを記載している場合もあるため見逃さないようにしたいですね!
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