メジャーリーグ(MLB)で他球団への移籍や大型契約がどんどんと進んでいます。
2025年のシーズンに向けて各球団が準備を進めています。
新シーズンのMLBに今からワクワクが止まりません
でも、いろんな制度が日本とは違ってわからないことも多いですよね
その中で、日本のFA制度とアメリカMLBのFA制度はかなり異なっていることが分かりました。
また、クオリファイング・オファー(QO)というMLBにしかないような独特な制度もあります。
そんなMLBの制度と日本の制度でどんなところが違うのか、FA制度とクオリファイング・オファー(QO)の仕組みについて簡単にまとめました。
メジャーリーグ(MLB)のフリーエージェント(FA)とは
フリーエージェント(FA)とは
選手がより良い球団へ移籍するための制度のことをフリーエージェント(FA)と言う。
日本のプロ野球(NPB)とアメリカのメジャーリーグ(MLB)のどちらにもフリーエージェント(FA)制度がありますが、制度の内容についてはかなり異なっているようです。
日本とのフリーエージェント(FA)の違い
項目 | 日本(NPB) | アメリカ(MLB) |
---|---|---|
フリーエージェント(FA) | 145日以上の1軍登録が 8シーズンに到達すること | アクティブロースターに登録されていた日数が通算6年に達すること (怪我の期間も含む) |
フリーエージェント(FA)の使用 | 選手自身がFA権の行使を宣言する必要がある | 自動的にFA状態となる |
日本シリーズ終了翌日から 7日間以内にFA権の行使を表明する必要がある | 期間が来れば自動的にFA状態となる。選手に球団に残るか去るかの選択権がある | |
人的補償 | あり | なし |
クオリファイング・オファー(QO) | なし | あり |
比べてみるとかなり制度が異なっていることが分かると思います。
人的補償については簡単にいかにまとめました。
日本には人的補償と言って、選手と選手のトレードが球団間で行われる制度があります。
アメリカのメジャーリーグ(MLB)では、そのような制度はなく移籍元の球団に移籍先の球団が契約金を支払うほか、ドラフト指名権も譲渡されることになっています。
じゃあMLBはFA状態になったら優秀な選手たちが
どんどん流出していっちゃうってこと?
MLBでは、そうならないように、選手を引き留める制度が設定されています。それが、クオリファイング・オファー(QO)です。
MLBのクオリファイング・オファー(QO)とは
メジャーリーグ(MLB)のクオリファイング・オファー(QO)はかなり変わった制度であり、なかなか理解が難しい制度となっています。簡単に内容をまとめてみました。
クオリファイング・オファー(QO)とは
日本のプロ野球にはないメジャーリーグ(MLB)独特の制度となっています。
提示される期間は、日本のプロ野球と似ており、シーズンが終了したタイミングで次シーズンに向けた交渉が始まっていきます。
細かい内容について簡単にまとめました。
対象となる選手 | アクティブロースターに登録されていた選手で、 登録日数が通算6年になった選手 |
対象外の選手 | 過去に停止されたことがある選手 シーズン途中で移籍した選手 長期契約を結んでいる大型選手 |
QOを提示された選手ができること | オファーを受けるか断るか |
QOを提示された選手 | QOを提示されてから10日間でオファーを受けるか断るか決断する |
QOを拒否した選手 | 自由の身となって全球団と交渉が可能となる (選手には不利益はない) |
自動的にFAになるのがMLBの特徴です
選手にあまり不利益はない制度になっています
選手のほとんどは、クオリファイング・オファーを断る
クオリファイング・オファー(QO)は提示を受けたほとんどの選手がその提案を断っています。
2012年の制度の導入以降、断らずに受諾した選手は14人(2024年11月20日時点)となっています。
なんで選手は提案を断るのかな?
<選手が提案を断る理由>
・断っても元球団と再契約することが可能
・QOは球団が手放したくない選手に提示するため、球団からの期待が高く求められている
・後の交渉でもっと良い条件を引き出せる可能性が高い
元球団と再契約が可能で、今よりも好条件で契約を結べる可能性があるとなれば、クオリファイング・オファーを提示された選手は断ることが多いということが分かります。
選手が断るとしたら、
クオリファイング・オファーは一体何のための制度なんだろう?
クオリファイング・オファー(QO)は球団側のための制度
クオリファイング・オファー(QO)は選手が断ることが前提の制度となっており、本質はクオリファイング・オファー(QO)を提示した球団側が次シーズンに向けたドラフト指名権の補償を受けるための制度となっています。
簡単に球団側のメリット・デメリットをまとめました。
項目 | 選手を取得した球団(移籍先球団) | QOを断られた球団(元球団) |
---|---|---|
メリット | 有力な選手を獲得できる | 一定の条件に従ってドラフト指名権が補償される(補償) |
デメリット | 一定条件に従ってドラフト指名権が没収される(ペナルティー) | 有力な選手を手放すことになる |
ドラフト指名権が没収されるなどのペナルティーがあったり、ドラフト指名権が補償されたり、と球団のための制度となっています。日本の人的補償のような選手トレードは行われないのが特徴的です。
クオリファイング・オファーを断った選手を獲得した際、獲得された際に適用されるため、クオリファイング・オファーを提示されなかった選手を獲得・獲得された際には、ペナルティーや補償はありません。
あくまでも、クオリファイング・オファーを断った選手の獲得と手放す際のメリット・デメリットということになります。
球団が手放したくない選手に対して、クオリファイング・オファーを行い、球団を離れて他球団に移籍した際に、メリットを得る制度と言えますね
なお、クオリファイング・オファー(QO)を断った選手が交渉の末、元球団と再契約をした場合は、ペナルティーや補償はありません。
ペナルティーや補償は球団の財政状況によって条件が変わる
球団の競争力を平衡にするため、球団の財務状況に応じて3つのカテゴリーに分類されてペナルティーや補償の内容が定められています。
財政状況が良いほど、ペナルティーは重く、補償は軽い
ペナルティーや補償の内容について詳細は以下の通りとなります。
<移籍先の球団へのペナルティー>
ぜいたく税の基準額を超過した球団 | 収益分配金を受け取る球団 | それ以外の球団 |
---|---|---|
ドラフトで2番目と5番目に高い指名権を没収される | ドラフトで3番目に高い指名権を没収される | ドラフトで2番目に高い指名権を没収される |
国際アマチュアFA選手との契約金の総額が100万ドル減額される | QOを拒否した複数のFA選手と契約した場合は、4番目に高い指名権も没収される | 国際アマチュアFA選手との契約金の総額から50万ドル減額される |
QOを拒否した複数のFA選手と契約した場合は、3番目と6番目に高い指名権も没収される | QOを拒否した複数のFA選手と契約した場合は、3番目に高い指名権も没収される |
<元球団への補償>
ぜいたく税の基準額を超過した球団 | 収益分配金を受け取る球団 | それ以外の球団 |
---|---|---|
ドラフト4巡目の後の指名権を獲得する | 選手が総額5000万ドル以上の金額で契約する場合に限り、ドラフト1巡目と戦力均衡ラウンドAの間の指名権を獲得する | ドラフト2巡目後に行われる戦力均衡ラウンドBの後の指名権を獲得する |
総額5000万ドル未満の場合は、ドラフト2巡目後に行われる戦力均衡ラウンドBの後の指名権を獲得する |
<球団ごとのカテゴリー分類(2025年シーズン予定)>
ぜいたく税の基準額を超過した球団 | 収益分配金を受け取る球団 | それ以外の球団 |
---|---|---|
アストロズ、ブルージェイズ、ブレーブス、カブス、ドジャース、メッツ、フィリーズ、レンジャーズ、ヤンキース | アスレチックス、ブリュワーズ、ダイヤモンドバックス、ガーディアンズ、マリナーズ、マーリンズ、オリオールズ、パイレーツ、レイズ、レッズ、ロッキーズ、ロイヤルズ、タイガース、ツインズ | エンゼルス、カージナルス、ジャイアンツ、ナショナルズ、パドレス、レッドソックス、ホワイトソックス |
9球団 | 14球団 | 7球団 |
ぜいたく税
毎年所定以上の給与基準を超えるチームに対して通常よりも高い税金を支払わせる制度のこと
給与基準を超えた最初のシーズンに超過料金の約20%、2年連続で超えた場合は約30%、それ以降は約50%の課税が行われている
各球団の競争力を一定に保つために取り入れられた制度となっている
まとめ
・日本とアメリカのMLBではFA制度の内容が異なる
・日本の人的補償制度はアメリカのMLBにはない
・QOはFA対象の選手に行われ、選手は断ることもできる
・クオリファイング・オファー(QO)は、 球団のための制度で選手に不利益はない
・財政状況によってペナルティーや補償に差がある
日本のプロ野球とは異なる制度で分かりにくい点が多いのがメジャーリーグのFA関連の制度となっています。
ややこしいですが、選手にとっては不利益になることはない制度となっています。
多くの選手たちが去就を決めるシーズン前、次のシーズンがどんな試合や展開になるのか今からでも楽しみですよね!
メジャーリーグ(MLB)には日本の選手も多くなり、日本のプロ野球同様に選手たちの活躍が見逃せない状態となってきています。日本との違いも知ってメジャーリーグの試合も存分に楽しみましょう!
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